立ち会い出産徒然記〜第二子出産記録vol.4〜
これは立ち会い出産に悩み立ち向かうおじさんの体験記
3月6日
その日はしとしと雨が降った。
なるべくいつものようにと娘を保育園に送り出す。
今日赤ちゃんが産まれるよと伝えると、小さな身体で大きくジャンプしよろこんだ。
「ママがんばってね」
録音しておけばよかった。
ツマとはLINEでたくさんやり取りをしてる。
いつでも行けるように準備はしてて、あとは呼ばれ待ち。
あれだけ怖いと思っていた立ち会いも、もうすっかり受け入れていて覚悟を決めたことすら忘れていた。
長丁場を覚悟して少し仮眠をしようとするも、全然寝れず、自分のイビキですぐ起きるという謎行動を繰り返した。いつもはのび太なのに。
朝から促進剤投与開始。なかなか進まない出産への段階がツマをネガティヴにさせる。
「もう無痛はあきらめる」
こういう時はなんて答えるのか正解なんだろうか?
大丈夫?そんなこと言うなよ?
これもきっと日頃からのコミュニケーションがモノを言うんだ。
人間関係のトラブルの9割はコミュニケーション不足と勘違いから生まれる。
出産時夫の何気ないひとことを恨んでる。みたいな記事を読んだけど、きっとその前から絶対に間違えてすれ違ってる。
たくさんの人間関係を間違え、壊し、失敗してきた42歳。
この日、今のためにあの頃があったんだとふと思った。
でもきっとこれからも間違える、図に乗るな俺。
昼ごろ、不安なツマからの出動要請。
家にあるフワフワのタオルを持ってきてほしいといわれたものの結局忘れる。どうしようもない。
長女が産まれる前に買ったライカを持つ。
出産時の撮影許可を事前に病院に確認し快く許可をもらった。
何度でも言うが検診はパパ達も行った方がいい。
こちらの要望を叶えるために頑張ってくれている人たちに事前に会うことで信頼関係が築ける(こっちが勝手に信頼してる)
できることできないことを事前に知っておくとほんとうにスムーズ。
立ち会いの手続きを済ませ、LDR室に。
陣痛室と分娩室が合体した部屋らしい。
12:40
分娩の椅子にあぐらの姿勢でツマは座っていた。
先に謝るごめんツマ。
ヌシだ。サウナのヌシだ。
ロバート秋山だなんて思ってない。絶対だ。
その佇まいはまさにそのものであったが、絶対に口に出してはいけない。絶対だ。
世の立ち会いパパよ、せめて和ませようと笑いに走ろうとしてはダメだ。
取り返しのつかないことになる。
到着後顔馴染みの助産師さん、先生と挨拶。よかった当たりの日だ!
病院も当番制であろう、その日によって担当は変わる。
座って即くるぶしの指4本上のツボをマッサージ。
痛みレベル4〜5くらいとのこと。
13:00
先生の内診。
子宮口5cm。
先生の一撃というものでずいぶん進んだらしい。詳しくはあえて聞いてないんだけど一撃?
痛かったとのこと。
この時に知ることになるが朝から緊急でのお産が数件入った忙しい1日だったようだ。
でもスタッフの方々はテキパキと動き、我々は少しも不安に感じなかった。プロだ。
ツマは痛みを訴えるようになり、手を握る。
普段のツマからは想像できないほど強めの握り。
やっと麻酔の先生登場(スポーツ刈り)でお薬投与。
ゆっくりと効いてきているようで、安心する。
苦しそうな姿を見るのも立ち会いを恐れる1つだったから、やはり無痛分娩を選択して良かったと思えた。
ツマの手を握りつつ押してほしい場所に手を当てる。マッサージ好きとしてはギュッと押したくなるんだけど、手を当てているだけでいいとのこと。手が温かいのが特徴のおれはずいぶんありがたがられた。
世のパパよ、手を温めて行け。多分冷たいと殴られる。
13:40〜50
効いていたはずの麻酔が効かなくなり、おかわり追加。つけ麺追いスープよろしく投入。
ツマ、便意を訴える。
「トイレ行く?」と聞くオレ。アホか、行けるわけない。
助産師さんはしていいですよと。オムツ着用で完全対応らしい。
14:10
先生の内診。
あたふたと声が聞こえる(内診中は外に出るオット。中の様子は音声のみ)
バタバタとしはじめ、先生が「パパ、産みますよ」
マジか。便意じゃねえ。産む合図じゃねえか!
14:19
両家親とのライングループに
今から出産です
と入れる。
自分でも驚くほど落ち着いていて、というかオレが落ち着いてないとツマが気が散るだろうとも思い、不思議な気持ちで入室し、手を握る。
血がダメなダンナさんとチームにすでに共有されていて、配慮はあったものの、もはやメンタル無敵モードのためなんとも思わずツマと向き合った。
分娩台に座ったツマ、待ち構えるスタッフの皆様。
グーっといきんで〜
グーーーーーーっ
がんばれしか言えないんだけどがんばれほど適した言葉はないだろう。
ボキャブラリーなんてない。
この時ツマのどこかに触っていようと思って頭をさすってたんだけどこれは良いと言われた。
嫌じゃないところを聞くってのは重要だとおもう。
とにかくスタッフの皆さんは「じょうずだよーママいい感じ!」と具体的に応援してくれる。
がんばれは応援としてはアバウトだ。
アバウトでも仕方ない。
なのでがんばれから、がんばろう!とトゥギャザー感を出した。
いきむのもいきんでやすみ、いきんでやすみで5、6回で出てきた我が子
14:31
元気な女の子だ
「パパ!写真どうぞ!!」
最初のワンショットは盛大に失敗した。
露出もシャッタスピードもピントも、全部ぐずぐずだ。
「まあ旦那さんなんてみんなそんな感じよ」と先生のありがたい言葉。
もっと壮絶で長丁場を想像していただけに、あっという間に出産はおわった。
これもきっと麻酔と手厚いスタッフのおかげなんだろう。
なにより最初の出産をコロナ禍で1人で耐え切ったツマの経験があったからこそ。
サンキューツマ。
ほんと心からありがとう。
元々お願いしていた撮影も無事終えて、処置に入るツマ、測られにいくムスメ。
パパ外でどうぞと案内され、各連絡すべき人々へ「爆誕」と送る
2児の父も爆誕である。
妊娠、出産においてパパ達は「役に立とう」と思ってはいけないということ
役に立ちたいのは認められたいエゴと欲だ。
「当事者でいること」
これが妊娠、出産、育児において1番念頭に置くことなんじゃないかな?と思っている。
役立つとかはもうどうでもいい。
トゥギャザーする。これに尽きる。
その当事者でいるポイントっていうのがどの辺にあるのかっていうとツマ:オレ=6:4のあたりにそのスポットがあるはず。この割合は育児量とかではなくパワーバランス。
奥さんに主導権がある方が絶対にいい。
家庭によっては7:3のあたりに当事者ポイントはあったりすると思う。
対等な関係とは5:5じゃないのよ。
それを求めると大体ツマからの不満がでます。
これは教科書に出ます。
あまりにも無力を感じるし、できることは少ない
やれることといえばいつも通りでいること
ツマや家族への感謝を常に伝え続けること
なのでいつも通りのレベルを上げる
これ以外にないのだ
立ち会い出産、おすすめです
完
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